齋藤研について

(一番最後に、2017年度の卒研テーマ発表会資料があります)

学部生の皆さん
齋藤研究室のHPにアクセスいただき、ありがとうございます。このページは、研究の背景、指導方針、研究室の活動、および研究室配属の方針などに関して紹介していきたいと思います。

背景
本研究室では、低消費エネルギーなデジタル集積回路の設計、高セキュリティな暗号
回路の実現、高信頼なシステム実現、およびセンサーネットワークの構築と応用を行っています。主に、Internet-of-Things (IoT)や組込み用途で用いられるハードウェアに関する研究です。研究の内容に関しては、研究内容などを確認してください。

他の研究室との違い
会津大学には、デジタル集積回路の設計や組込みシステムに関する研究を行っている研究室は、ほかにも存在します。そうした研究室との大きな違いは、

  1. 非同期式回路の研究
  2. 設計支援ツール開発(特にシステムレベルからレイアウト設計まで)
  3. マルチコアシステムの設計

などがあげられます。できるだけ、人や企業がやっていない研究に取り掛かることを目的としています。やっている人が多いと、研究として成り立たたなかったり(すでに解決済みなど)、生き残るのも困難です。特に企業が重点的にやっているようなことは、コストやマンパワーで不利なのは明らかです。困難な点などもありますが、チャンスも十分にあると思っています。また、可能な限り先端的なことを行うことを心がけています。

指導方針
本研究室で学んだ学生の皆さんには可能な限り社会で頑張ってほしい、集積回路設計や組込みシステム設計の分野で貢献してほしいといった願いがあります。そのためには、社会人としてやっていくための準備期間だと思ってしっかりと研究に取り組んでほしいと思っています。特に近年、あるいは今後の世の中を想像すると、情報系、製造業などといったこれまでの我が国の主要産業は困難な時期に直面するのではないかと考えています。ソフト開発もハード開発も、コストの低い東南アジア諸国に発注しているため、国内に残るのはそうしたことを管理する人、システム全体を見渡せる人、想像力がある人に限られてくると思います。特に、ソフト開発(単にSEやプログラマだけでなく、インターネット産業なども含みます)に関しては従事している人数が多い分、その競争は熾烈ではないかと思います。そうすると、大学を卒業したけれども就職できない、あるいは就職したけれどもすぐに配置換えやリストラといったことにもなりかねません。そういうことを考えると、これからの大学はそういった社会でもやっていける人材を育てることが求められると思います。そのためには、やはりそれなりの厳しさを持って研究活動をする必要があると思います。

以上のような背景から、私は指導に関して以下も重視しています。

  1. 計画性(自己管理)をもって課題解決
  2. 自己表現
  3. 協調性
  4. 責任

そのための指導方針は以下の通りです。

1に関してですが、研究テーマに関しては複数準備し、それをある程度理解してもらったうえで興味のあるものを選んでもらいます。自分で決められない場合はこちらで判断します。また、雑誌やネット記事を紹介しますので、それをもとに興味を持ってもらおうと思っています。その上で、テーマを選んでもらい、研究計画を立ててもらって課題解決に取り組んでもらいます。週毎の指導では、スケジュール管理やどうしてそのような発想に至ったかを確認しながら、指導を行います。なお、研究をうまく行うためには時間が必要です。そのため、研究室に来てもらうことが前提になります。やるべきことをやっているのであれば、部活やバイトは許容しています。ただし、進捗が思わしくない場合は、卒業のためにそのあたりも指導します。

2に関してですが、自分で行ったことを資料にまとめる、あるいは説明するということがあげられます。資料作成は、卒論執筆などにも役立ちますし、自分の理解を再確認する意味でも重要です。資料や説明が不十分だと、相手に(大学であれば指導教員、会社であれば上司)理解してもらえず、なかなか先に進めない原因になります。相手が理解できる資料や説明、さらには相手からコメントを引き出せるような資料や説明をするよう指導します。

これまでの経験上、研究がうまくいっていない人に共通して言えるのは、以上で述べた全てがかけているか、あるいは多くがかけているといることです。言い方を変えれば、この辺りをうまく行えれば、たとえ研究が厳しくとも無難に終了できると思います。なお、自主性さえしっかりとすればなにをやってもいいというわけでもないことに注意が必要です。やりたいことがあったらまず事前に相談するよう指導します。

3に関してですが、研究室の活動にはできるだけ参加してもらうように指導します。定期的なミーティングは必ず参加してもらい、飲み会など不定期なものは可能な限り参加してもらいたいです。普段から研究室の他のメンバーと接し、意見交換を行ったり、助け合ったりする姿勢が大事ですし、また可能な限り孤立しないようにすることも大事だと思います。就職したあと、多くの場合でグループワークはつきまとうと思います。研究のみならず、本研究室に配属されたあかつきには協調性も磨いてほしいです。

最後に4です。指導の際には、学生の皆さんにはなにをいつまでにやってほしいということを言います。これは、卒業までに研究を終わらなければならないためです。このとき注意が必要なのは、”わかりました”と同意することです。同意した以上、それに対する責任を理解してもらう必要があります。無責任な行為は信頼関係を著しく傷つけます。社会に出てそうしたことのないように、こうしたところもしっかりと指導するつもりです。

いろいろと書くと、厳しいというイメージをもたれるかもしれません。しかし、非常に大事なことだと思います。研究だけではなく、こうしたことも大事ですので、ご理解いただきたいと思います。

研究室の活動
本研究室で学んだ非同期式回路などが、社会に出てすぐに使われるかといえば、正直なところ答えはNoでしょう。大学で行うべき研究の多くは、すぐに社会で使われるとは限らないですし、社会とは少し離れたところをやっていることが多いです(すぐに必要な研究というのであれば、おそらく企業のほうが重点的に行うだろうし、その場合コストやマンパワーの点から競合するのは厳しいと思います)。

そのため、研究活動を通じて、学生の皆さんになにを身に着けてほしいかということですが、それは以下の3点です。

  1. 基本的な知識や技術を身に着ける
  2. 自分で計画を立て、自己管理をする
  3. 研究を通じて考え方(創造性)を養う

3年生の段階で、可能な限り基本的な知識や技術を身に着けてもらう予定です。具体的には、a)ハードウェア記述言語によるデジタル回路のモデリング、b)市販ツールを用いた回路合成、c)JavaやPythonによるアルゴリズムとプログラミングを行う予定です。a),b)は、デジタル集積回路の設計を主に行っている会社で役に立つと思います。なぜなら、ハードウェア記述言語による回路モデリング、およびツールを用いた回路合成はデジタル集積回路の業界における標準的な設計方針だからです。こうしたことを勉強することができることも本研究室の強みだと思います。c)は、アルゴリズムの理解能力とプログラミング能力を養うために行います。

以上が終わり次第研究テーマを決めます。ここで重要なのは、おおまかなゴールを設定した後、自分なりにどのように取り組んでいくかを考えてもらいます。つまり、自分なりに計画やスケジュールを立ててもらいます。そして、自己管理をしつつ研究を行ってもらいます。毎月初めに、前月の進捗とその月の目標を述べてもらいます。なお、研究に関しては自分なりに考えて、必要な資料を提示してもらったうえでアドバイスをしていきます。何ができないのか、何がわからないのかを自分で整理したうえで報告してもらわないと、こちらも適切なアドバイスができないからです。これらは、上における2,3の具体的な取り組みです。社会に出て仕事をこなすうえでは非常に重要な能力ですので、そのための準備と位置付けてください。

3,4年とも、個別ミーティングを週1で行います。また、全体ミーティングも週1で行います。ここでは、研究室の他のメンバーに自分の研究を知ってもらう(発表能力を高める)、他のメンバーの研究に協力するということが目標です。そのほかに、輪講(みんなで本や論文を読み、担当の人が発表)を週1で行います。これによって、本や論文の読み方を理解してもらい、自分の論文に活かしてもらいます。

卒業後の進路
この研究室で勉強したことが役に立つと思える業界は、半導体業界、電機業界、組込み業界だと思います。職務的には、デジタル回路設計、組込みシステム設計などです。ですので、将来的にそうしたことで仕事を得たい人にとってはふさわしいと思います。これまでの卒業生は以下の企業に就職しています。同じところに必ず行けるとは言えませんが、参考にしてみてください。なお、これはあくまで一部です。

さくらケーシーエス、テプコシステムズ 、シグマ、横河電機、日立情報制御ソリューションズ、日立アドバンストデジタル、ローム、ダイトエレクトロン

研究室配属について
研究室の配属は以下を考えています。

  1. 配属希望の意思表示をしてもらう(メールなど)
  2. 面接を行う
  3. 配属の決定をする

面接では、研究に対する興味、やる気、単位履修状況、大学院進学希望の有無を確認します。研究テーマや指導方針、研究活動などをおおむね知ってもらったうえで(このページの通りですが)、問題なくやれるかということを確認させていただきます。こうしたことを確認しないまま、配属を決め、後になってそうだったのかとなってしまうとお互いに良くないと思います。単位履修状況は、おおむね目安となる単位を取得できているかを確認します。上で述べたように、週に何度かミーティングを行ったりしています。こうしたものに参加できないと、研究がうまくいかない、研究室で孤立してしまうといった問題に遭遇する恐れがあるため、このあたりも問題なく参加できるかを物理的に確認します。なお、取得状況が悪い人は受け入れないというわけではありません。やる気と研究室の活動を優先的に行うと意志が確認できれば、もちろん受け入れは可能です。

また、大学院の進学希望者は歓迎します。卒業後の進路で本研究室の卒業後は、半導体業界、電機業界、組込み業界がふさわしいと述べましたが、仮にこういった業界で研究、開発関係を行いたければ修士まで(大きな企業の研究所、国の研究所、大学の教員であれば博士)いったほうが良いと思います。会社によっては、こうした業務は院卒というように決めていることもあります。実際、本学の学部を卒業した私の知っている学生さんの中で、希望の仕事ができなく大学院に入りなおしたという人を何人か見ています。理工系の他大学の動向もある種裏付けているような気がします。東大、京大、早慶をはじめとする主要大学の工学部卒業生の6割以上は大学院に進学します(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E9%80%B2%E5%AD%A6%E7%8E%87)。そうすると、仮にもしあなたが企業の採用の人間と仮定したとき、本学の学部卒とそういった大学の院卒、どちらを採用するでしょうか?こういったところで差をつけられないためにも、院に行って力をつけてもらい、自分のやりたいことをするのが理想だと思います。実際、大学院の授業の質は高く(少なくとも私担当に関しては)、また院生のほうが研究に対する取り組み方も違います(全員ではないですが)。私自身も、修士は本学を出て、博士は他大学に行きましたが、その時点では自分がそういった大学の学生さんと比べ劣っているとは全く思いませんでした。大学院の方が、授業、研究の質は高く、また学部とトータルで4年間専門的なことが勉強できますので、それなりのメリットはあると思います。本研究室ではさらに、可能な限り研究会や国際会議などでの対外的な発表を推奨しています。

最後に
いろいろと書きましたが、最後に、本研究室に興味がある、集積回路や組込みシステム設計に興味がある、人と違うことがしてみたい、卒業までに何かしら身につけて卒業したいのいずれかにも該当する方は是非本研究室を検討してもらえれば幸いです。ご精読ありがとうございました。

参考資料
2017年度用卒研テーマ発表会資料