研究内容

会津大学齋藤研究室へようこそ

本研究室では、エッジAIシステムによる地域課題の解決を目標に研究を行っています。地域課題に関しては、会津地方で問題となっている、鳥獣害対策や見回りロボット、除雪システムなどを念頭においています。今現在は、ラズベリーパイと呼ばれるマイコン基板などを用いて、システムの構築までを行っています。鳥獣害対策のために開発した野生動物警報システムは、実証実験のレベルです(R2、3年度は福島県会津地方振興局の委託業務として行っています)。それ以外は、プロトタイピングのレベルです。

見回りロボットや除雪システムは、自動走行タンクをベースとしています。走行しているため、高速な処理が求められます。今現在、ラズベリーパイでは、1枚の画像分類を約0.3秒で行っています。1秒で考えると3枚しか処理ができません。処理の高速化のために、私たちは専用回路の利用を考えています。専用回路は、今現在、Field Programmable Gate Array (FPGA)というデバイス上に実現しています。また、自動走行タンクは、動いているためバッテリーライフが深刻な問題となります。回路の消費電力を削減するために、私たちは非同期式回路と呼ばれる回路の研究を行っています。非同期式回路は、ローカルなタイミング信号を用いて必要な時に必要な部品を制御することで、低消費電力を達成します。

以下では、今現在(令和3年10月)の各研究の概要を紹介します。ほとんどのものは、研究室に所属する学生が行っているものです。時間の許す限りご覧ください。

なお、研究に関して質問などがありましたら、hiroshis”at”u-aizu.ac.jpまでご連絡ください(”at”→@として下さい)。

本学の1,2年生の皆様へ

研究室への配属を希望する方は、以下のデモを見ることで本研究室がどういったことを行っているのかわかるのではないかと思います。また、以下のページでは、指導方針や配属に関して説明しています(学内のマシンからのアクセスに制限しています)。こちらも合わせてご覧ください。

http://www-adl.u-aizu.ac.jp/ourlab/


非同期式回路とは
プロセッサのようなデジタル回路は、グローバルなクロック信号を用いて回路部品を制御します。高周波なクロック信号を広い範囲に分配すると、クロック信号の消費電力が問題となります。非同期式回路は、グローバルなクロック信号を使わず、ローカルなハンドシェーク信号や自己タイミング信号を用いて回路部品を制御します。そのため、低消費電力、低電磁放射という特徴を有します。以下のスライドでは、本研究室で行っている研究の概要を紹介します。


野生動物警報システムとは
野生動物による事故や被害を抑制することを目的に、本研究室では野生動物警報システムの研究を行っています。以下のスライドでは、野生動物警報システムの概要と今行っている実証実験(福島県会津地方振興局の委託事業)を説明します。

以下は、実証実験におけるツキノワグマの検出例とそのときにトレイルカメラで撮影した動画です。センシングから検出、および追い払いまで一連の動作を確認することができます。

以下は、装置が撮影した画像です。暗くて見づらいのですが、左の黄色の枠にツキノワグマが一頭います。なお、こちらですが、MobileNet-v2(画像分類を行うニューラルネットワークモデル)に対して、自分たちが収集した画像を用いて転移学習したものです。

以下はトレイルカメラが撮影した動画です。装置で撮影した上記画像に対して深層学習を行い、そのあと音や光を出しますが、その間約2秒くらい要しています(日中と比べ夜間は少し長め)。そのため、動画では最初にクマは真ん中あたりにいます。最初の数秒で、音や光によって走って去っていくのがわかります。

※注意、装置による追い払い効果はあくまで一時的なものにすぎません。専門の先生のアドバイスによると、音や光にやがてなれるとのことです。実際、数日後に現れたケースも確認しています。私たちは、地域住民や自治体の方が、定期的に花火をあげて寄せ付けないようにすることを、装置が動物を検出したときにピンポイントで行っているという程度に考えています。

謝辞:実証実験のためにご尽力いただいた、福島県会津地方振興局、会津美里町、喜多方市の関係者の皆様に深く感謝いたします。


会津大学では、3年生から研究室配属を行います。本研究室では、3年生は研究のための準備として、ハードウェア記述言語(Hardware Description Language, HDL)やFPGAを用いた非同期式回路の設計法、およびラズベリーパイを用いたIoTやAIシステムの開発を学びます。4年生は、上述した研究テーマの一部を卒業研究として取り組みます。大学院生は、修士論文、博士論文に向けた研究を行います。

以下は、所属する学生の現時点(令和3年10月)での取り組みを紹介します。
※タイトルをクリックすると、SlideShareにて説明のスライドを見ることができます。また、その下の画像はデモ動画です。

3年生

地域課題の解決を目標に、ラズベリーパイやAIを用いてシステムの開発を行っています。以下のテーマは、3年生が自分で考えて進めているものです。

スマホで撮影した画像をラズベリーパイに送り、深層学習(画像分類)にて、毒キノコかどうかを判断します。

トマトの生育状況をカメラで撮影し、完熟したか、そうでないかをラズベリーパイにて判断しています。判断には深層学習(物体検出)を用いています。

カメラで撮影した顔の画像をラズベリーパイに送ります。ラズベリーパイは、深層学習(画像分類)にて顔の表情を分類します。また、分類結果に応じて声掛けをします。

カメラにて撮影した人の顔に対して、ラズベリーパイが登録している人かどうかを深層学習(画像分類)にて判断します。登録されている人の場合、サーモグラフィーを用いて顔の表面温度を計測します。


4年生

それぞれ、自分の卒業研究の現在のステータスを紹介します。

本研究室で開発している、非同期式回路の設計支援ツールは、制約生成、遅延解析、遅延調整などを自動で行います。設計支援ツールの入力は、回路のリソースやパスなどを表したXMLファイルです。これを手で準備すると相当大変なので、設計の対象となるVerilog HDLモデルからXMLファイルを自動で生成するツールを開発しています。

最近のIntel FPGA(Cyclone Vなど)は、タイミングシミュレーションを支援していません。クロック信号がない非同期式回路では、その結果、シミュレーション時間が0時間と判断されてしまいます(同期式回路の場合、クロック信号の変化時に値を生成)。シミュレーション結果を用いて電力解析を行う場合、正確な解析結果を得ることが困難です。本研究では、ローカルなタイミング信号を疑似的に外部から与えることで、シミュレーション時間を実際に近づけることを目標としています。こうすることで、電力解析の精度も改善することが期待できます。なお、ローカルなタイミング信号を変化させるタイミング(Verilog HDLによるテストベンチに記載)には、Static Timing Analysisの値を用いています。

会津地方では、冬季間朝起きると、家の前にたくさんの雪が積もっていることがあります。除雪したうえで通勤、通学するのはとても大変です。そのため、簡易積雪計で定期的に積雪を計測し、一定の深さになったら除雪ロボットに指示を出し除雪をするロボットを開発しています。簡易積雪計もロボットもラズベリーパイを使っており、ロボットは深層学習を用いて走行するようにしています。下記のデモにはないのですが、現在は前面に雪を押すプローをつけています。この冬に動作確認できるよう準備しています。

高齢化社会が進むにつれて、地方の耕作放棄地などが問題になってくると考えています。この研究では、地域に住んでいる高齢者による田畑や共用地(公園など)の管理を支援するためのタンクを開発しています。タンクには2種類のカメラをつけていて、1つは自動走行用、もう1つは監視用です。どちらも深層学習を使っています。監視に関しては、とりかかりとして野生動物や放置果実などを検出できるようにしています。


修士1年生

エッジAIデバイス実現の一環として、RISC-Vと呼ばれるオープンソースプロセッサをIoTやAIアプリケーションに適用することを目標に研究を行っています。また、非同期式回路として実現することで低消費電力化を図っていきたいと思います。


修士2年生

野生動物警報装置の省エネルギー化やコスト削減のための研究を行っています。野生動物警報装置はソーラーパネルとバッテリーで駆動していますが、大きなソーラーパネルやバッテリーの使用はコストの増加もさることながら、設置できる場所を制限してしまいます。このデモでは、機能を分散させることにて省エネルギー化を図っています。また、検出範囲を広げるために複数のカメラを使うことも行っています。


博士3年生

設計が難しい非同期式回路をできるだけ容易に実現するため、同期式回路のRTL(Register Transfer Level)モデルから非同期式RTLモデルへ変換する手法を紹介します。今後は、この変換手法を用いて、プロセッサや畳み込みニューラルネットワーク回路を非同期式回路として実現することを目指します。

最後まで見ていただき、ありがとうございます。